県産スギ材による簡易ハウスの開発
山本幸雄・城井秀幸
農林水産研究指導センター林業研究部
Research and Development of Simple House by Sugi Wood ( Japanese Cedar ) of Oita
Prefectural Product
Yukio YAMAMOTO
・
Hideyuki KII
Oita Prefectural Agriculture,Forestry and Fisheries Resaerch Center Forestry Reseach Division
要
旨
県産のスギ材の需要拡大を製品開発の面から支援するため,平成20 年度から平成22 年度までの3 カ年計画で,林
業研究部,産業科学技術センター(平成 20 年度のみ),大分大学(福祉環境工学科木質構造研究室),株式会社トラ
イ・ウッドの4者により,一般の消費者が手軽に購入して組み立てられるような簡易ハウスの開発を共同で取り組ん
できた.3年目の今年はこれまでの試作品でのアンケート結果などを踏まえて,「木製のバイクポート」としてターゲ
ットを絞りリデザインし,マニュアル作成の段階まで研究を進めた.
1.
目的
近年,非木造系の安価で高品質,しかも機能的なミニ
ハウス,倉庫,ガレージ,工事現場事務所などが増加し
ている.本研究は,この分野での県産スギ材の利用拡大
を図るため,コストや品質,機能性,強度などに優れた
大手メーカーにはない,購入者が簡単に組立てられかつ
再利用可能な簡易ハウスを提案し,市場を開拓すること
を目的とした.
2.
研究内容
本研究ではスギ3層パネルを等の構造用面材等を活用
した.そして,短期施工性,高居住性,高耐震性に優れ
た新工法を開発して,柱のない,面材だけで構成された
シンプルな空間をできるだけ低コストで作ることを目指
してきた.年度毎に研究のステップを高めてきたので,
その経過を記しながら研究の内容を報告する.
2. 1 平成20年度の研究
厚さ45mmのスギ積層パネルを用い,パネルの相欠きに
よるかん合接合を基本とする工法Aと,蟻継ぎのような
傾斜した突起部を組み合わせ丸ナットを用いて留めつけ
る工法Bの2種類について検討した.工法A(Fi g. 1)は
適切な精度で相欠き部を加工するとかん合が良すぎるた
め解 体が難しく 再利用が困難 ,一方,工 法B(Fi g. 2)
は接合部の形状が複雑なため加工が難しいことが分かっ
た.壁の強度はどちらの工法でも十分であった.施工性
などにつ いて検討するため 実大モデルを試作 した結果
(Fi g. 3),ブロックを使った基礎は素人には施工が難
しいこと,45mmのスギ積層パネルは重すぎること等の問
題点が分かった.
Fi g. 1 工法 A Fi g. 2 工法 B
Fi g. 3 H20 年度モデル
2. 2 平成21年度の研究
初年度の研究結果を踏まえて,重量を軽くするため,
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スギ積層パネルの厚さはすべて36mmとし,コスト削減の
ため芯を含む低質材を使用した.工法は工法Bの切欠き
の形状を簡素化し,加工を容易にした工法BN( Fi g. 4) を
用い,試験で十分な強度があることも確かめた.基礎は
ブロックを鋼材に代え( Fi g. 5) ,工法はBNに統一するな
どの改良を加えた平成21年度版実大モデルを試作し,別
府公園で一般公開するとともに( Fi g. 6) アンケート調査
を実施した.その結果,約7割の人が趣味の部屋を想定
しており,購入希望価格は,50万円までが最も多いこと
が分かった.
Fi g. 4 工法 BN
Fi g. 5 基礎を鋼材に改良
Fi g. 6 別府公園での一般公開
2. 3 平成22年度の研究
最終年度の研究試作では、工法はH21年度モデルを踏
襲した.用途をバイクガレージとすることや加工をより
簡素化するため,開口部に幅10cmの直行壁を設けること
や壁内のダボを省略する等のリデザインを行った.基礎
を更に強化したH22年度版実大モデルを試作し,福岡市
などで一般公開( Fi g. 7) してアンケート調査をした.購
入希望価格は,別府市での調査では50万円,福岡市では
120万円が最も多いことが分かった.また,購入者が組
立てに必要となる施工マニュアル( Fi g. 8) も作成した.
Fi g. 7 福岡での一般公開
Fi g. 8 施工マニュアル
3.
考察
3年間の連携研究で当初の目標である,品質,機能性,
強度などに優れた大手メーカーにはない,購入者が簡単
に組立てられかつ再利用可能な簡易ハウスの開発がほぼ
できたと考えている.今後,開発した簡易ハウスの販売
を事業化するため,さらなる低コスト化と,販売方法等
について検討していく予定である. 3
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